永代供養墓という言葉が誕生したのは1980年代のこと。親から子、子から孫へと、男系で引き継いでいくのが日本人の常識とされていたそれまでの日本人のお墓の常識を打ち破ったのが、永代供養墓でした。
株式会社鎌倉新書が毎年行なっているアンケート調査によると、2022年に新たにお墓を買い求めた方のうち、代々引き継いでいく形式のお墓を購入された方は19%。鎌倉新書の過去の調査で最低の数字となり、年々減少傾向にありましたが、ついに20%を割り込みました。
反対から見ると、80%は代々引き継がないお墓である永代供養墓を買い求めているということになります。
わたしはこのことを2014年ごろから予測し、セミナー等で解説をしてきました。その根拠は、株式会社第一生命研究所が行った調査にあります。
同研究所は2009年、全国の35歳から79歳の男女600人を対象にインターネットでアンケートを行い、「お墓を継ぐ人がいなくなったらどうしたいか」を聞きました。
その結果は、「寺や教会などが子孫に変わって管理する」(33.4%)や「期限付きのお墓にして、継承する人がいなければ期限後に合葬する」(35.3%)が大勢を占める中、「養子をとってでも、子孫が代々継承し、管理する」と答えた人は全体の7.5%にとどまりました。
「子供がいないから、男の子がいないから、養子をとってお墓を残す」と考える人は全体の1割未満という考えが、すでに15年近く前からみて取れるわけです。
詳しい解説は別に譲りますが、一人っ子時代にあって、お墓を子供に残せる世帯は、一人っ子である子供が男の子である確率と同じになりますので、全世帯数の50%以下。同じ理屈で、孫にまで残せる確率は、25%以下となります。
「養子をとってでも」という価値観がないと、お墓の承継は、物理的に縮小していくしかあり得ないのです。
お墓は変化を含んだ文化です。今後も、その変化を解説し続けていきたいと思います。
株式会社366
代表取締役 伊藤照男